ホラー


運命の姉妹―女魔術師ポルガラ〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)


『物語と人物の多面性と多様な楽しみ』
 「そもそも、”本当に起きたこと”がひとりの人間によって説明されうると考えるほうが、馬鹿げている」とは本書でのポルガラの言葉だが、まさに至言である。「ベルガリアード物語」、「魔術師ベルガラス」に続く、「魔術師ポルガラ」シリーズの開幕となる本書は、また違ったポルガラという視点から物語と歴史に光を当ててくれる。
 母であるポレドラの胎内から始まるベルダランとの絆とポレドラの教育、そしてベルダランに感じる愛情とコンプレックス、父ベルガラスに感じる嫉妬とそれ以外の”何か”、魔術師ベルガラスではベルガラスの視点から書かれた物事が、今度はポルガラによって語られ、父と娘の微妙な関係と共にお互いの秘密が明かされるのが何とも楽しい。
 ”木”との出会いや友人達──鳥──とのつきあい始め、そしてポルガラらしい魔術への目覚めなど、ポルガラの成長記録もさることながら、初代のブランドとの関係や想いなど、ベルガラスとは違った人々との付き合い方、生き方のスタンスが非常に興味深い。”永遠なる者”ベルガラスが巨視的に物事を見つめるのに対し、ポルガラは細部まで拘り、肌が触れあうような距離で人々と接する。それ故に喜び、楽しみ、そして別れを人一倍悲しむ。ベルダランとの別れに始まるポルガラの悲しみが本書の一つの書くことができない要素である。しかし、人生はそればかりではない。より密度濃く描かれるリヴァでの生活、甥であるダランやブランド:カミオンとの関係、そして医学への目覚めや人々との繋がりなど、ポルガラの青春と成長が描かれているのも堪らない。注目は本書の後半、アレンディアでの活躍であろう。ポルガラが何故アレンディアに限りない愛着を見せるのか、その一端が見えて物語の続きが本当に楽しみである。最後の訳者あとがきも、この人あってのシリーズであるだけに非常に感慨深いものがある。新シリーズの開幕を心から歓迎したい。


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