ホラー


イギリス恐怖小説傑作選 (ちくま文庫)


『南條氏の選択眼の確かさ。』
相場が休みの年末年始や、ゴールデン・ウィークは
ホテルに泊まって短編小説集を読むのが習慣である。

・・・・・・・・・・・・・・
「地より出でたる」について。

「文学的大衆論」として
読む事も出来る。
また、マッケン自身が、
「イヴニング・ニューズ」紙の
記者を、長く務めていた事も有り、
「マスメディア論」として
読む事も可能である。

「地より沸き出でたる」
そのどうしようもない位、
レヴェルの低い子供達。

憎むべき「大衆」。
いや、「愚民」と言うべきか。

憎むに値する「彼等」は
何者か。

其の答えは、最後に
「文学的」に提示されて
居る。

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「ブリケット窪地」について。

人が居なくなる。

其れだけの話。
日本風に言うと「神隠し」。

しかし、問題は
分け隔て無く、150年以上の
間に、どんどん、居なく為っちまう。

「分け隔てなく」とは
如何言う意味か、と言うと
19世紀イギリスと言う
歴然たる「階級社会」、
今風に言うと「格差社会」の
どの階層に属していようが、
そんな事は、丸で、御構い無しに
そりゃあ、もう、ガンガン
居なくなる。
人間が、である。

其の人間の社会階層、或いは
社会階級なんぞ、問題ではない。
金持ちか、貧乏か、或いは
其の中間か、丸で、関係無く
どんどん、居なくなってしまう。

その「場所」が問題なのだ。
その土地の名が、表題に
有る様な「窪地」なのである。

詰まり、「恐怖」ってえのは
「格差」を超えちまう
って事だねえ。

ふっふっふっふふふ。

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「蜂の巣箱」について。

著者は英語学者。其の著者を
モデルにしたと思しき
視点人物から語られる
イギリスは、コンウォール地方の
土俗的魔術。或いは、
フォークローリックな呪術。

エゲレス人てのは、
必ずしも、合理主義者
ばかりでは、無い様である。

土着的民俗怪奇物としては、
諸星大二郎『妖怪ハンター』に
近い様な気もするが、
流石は、アングロ・サクソンである。

最後には、
「自分には、どうせ関係の無い
事だ。」とばかりに、思いっ切り
突放してしまっている。

大前提として「個人主義」ありき
と言う所だ。

其れから、「わたし」が
下宿する田舎のテラスハウス
見たいのが、木造建築で
隣の家の病気のかみさんの
咳払いとかが、しょっちゅう
聞こえてきたりするのだが、
「わたし」は、全然、平気。

「隣は何をする人ぞ」等と言う
村人的なゴシップ興味、或いは
「下司な好奇心」等、持ったりしない。

また、良く言われる事だが、
「イギリス人の家は城。」
なのではない。

「イギリス人の心が城。」
なのである。

こう言うの読むと
夏目金之助がイギリス留学中に
ノイローゼになっちゃって、
日本に帰ってきてから、
「個人主義とは何か」と
徹底的に考えざるを
得なかったと言うのも
判るような気もする。

まあ、私には、関係無い事ですけどね。
ふん。

・・・・・・・・・・・・・・・・
「断章」について。

ジョージ・ゴードン・バイロン著。

本編は、あの有名なる「文学史上の事件」に
関わる作品。

1816年。夏。
スイス。レマン湖の畔。
バイロン卿と、その侍医ポリドリ、
詩人シェリーと、その恋人
メアリー・ゴドウィン。
この4人による、恐怖小説の
コンペティッションから
『フランケンシュタイン』が
生まれた。作者は、メアリー。
後に、シェリー夫人となった。

勿論、バイロン卿も一作を
ものにしている。
それが、この「断章」である。

後に、ポリドリが『吸血鬼』を
バイロン卿の名で出版するのだが、
そのプロローグ的な作品。

しかし、本作で主人公達は
豪く東の方へ行っちまっている。
トランシルヴァニア所じゃあ無い。
殆ど、トルコ国境か、トルコ国内である。

主人公の友人の旅の目的は、
「怪物」に為る事だった。

「異教の神」。魔神。
デーモンと言うべき存在。
ヴァンパイアとは、違う。

鸛が一羽、嘴に蛇を咥えたまま
墓石の上にとまる。
主人公はいぶかしむ。「何故、蛇を
咥えたまま、喰わないのかな。」

コウノトリは、大鴉の様に

NEVER MORE!!

とは、決して鳴かない。

総べては、これからだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「見た男」について。

X・プライヴェイトX著。
実際には、A・M・バレージの
ペンネームである。

本編を読むと、
女の顔ってのは「怖い」
らしい。単なる美女とか、
整形手術の失敗とか、
其の程度の代物ではない。

また、其れに対する
男の側の気持ちの問題。
愛する女性の顔が
見るも無惨に...。
其れでも、「彼女と言う
女性を愛しているのだ。」
と言うのが、男の側の
一方的な「念慮」、詰まり
「勘違い・思い違い」
だったとしたら。

登場人物としては、
ルーアンのホテルで
給仕長を務める
英語が流暢なフランス人
ピエールが、大変
魅力的である。

こう言うまともな
ホテルマンの居る
ホテルを基準に宿泊先を
選びたいとは思うが...。

本編の中で、ピエールが
働いている「ホテル・アヴィニヨン」
には、泊まりたくも無い。

いや、ピエールの薦める通り、
日の当たる大通り沿いの部屋ならば
泊まっても良いかも知れんが。

実は...。

「出る」んだよ。
このホテルは。




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